暖かい日が増えてきたものの、一日の中でも寒暖差が激しいこの季節。
寝具の販売に従事していたときも「いつ冬用の布団やシーツをしまっていいかわからない」というお声が多くありました。
そこで今回は、春先の寝具の衣替えの必要性やタイミング、収納時のポイントについてご紹介したいと思います。

寝具の衣替えが必要な理由
質の良い睡眠をとるためには、『寝床内環境』といって布団の中の温度と湿度(寝具と身体との間に発生する温度と湿度)が非常に重要になります。快適な睡眠をとるためには、寝床内環境を温度33℃前後、湿度50%前後に保つのが理想的と言われているのですが、春先になって暖かくなっても冬用の寝具を使っていると、温度・湿度がこの数値より高くなってしまいます。
その結果、寝ている間に汗をかき、汗が冷えて寝冷えをしてしまったり、暑くて眠れないといったりすることになりかねません。お洋服の衣替えのように、寝具も季節に合わせて衣替えをすることが質の良い睡眠をとるためのカギとなるのです。

寝具の衣替えに最適なタイミングとは?
【ポイント①】温湿度計を置いて寝室の温度・湿度を『見える化』する!
寝具の衣替えのタイミングを計る前に用意したいのが、お部屋の温度と湿度を計ることができる『温湿度計』です。寝床内環境をご自宅で計ることは難しいので、寝室の室温と湿度をその目安にすると良いでしょう。
とくにマンションは気密性が高く、住宅の種類や日当たりによっては冬用の布団がいらないという方もいらっしゃいます。そこで体感だけでなく、寝室の環境を『見える化』することで、それぞれの住宅・寝室環境に合わせて寝具の衣替えをすることが睡眠の質を確保するうえで大切です。
また、温湿度計は寝具の衣替えのタイミングだけでなく、夏場や冬場の寝室環境も『見える化』できます。エアコンや加湿器を使用する目安にもなるので、お部屋に1つあるととても便利なアイテム。私はサポートしている選手に遠征先にまで温湿度計を持参していただいています。

 

【ポイント②】室温が20℃を超えたら寝具の衣替えのタイミング!
衣替えのタイミングは、寝室の温度がひとつの目安になります。就寝時や起床時の室温が15~19℃であれば冬用の羽毛布団が快適ですが、室温が20℃を超えたら冬用の布団から軽めの布団への切り替えのタイミングです。
そして室温も日中の室温ではなく、就寝時や起床時の室温を目安にするのがポイントです。室温が20℃を超えている場合は、冬用の布団のままだと寝床内環境も理想値を超えているということになります。室温が20℃を超えていても朝方の肌寒さが心配な場合は、シーツや布団カバーなどのリネン類から春夏物に衣替えするのもおすすめです。

 

衣替えをした布団の収納時のポイントは?
季節外の布団を収納するときは圧縮袋を使いがちですが、羽毛布団を収納する際には避けたほうが良いでしょう。羽毛に圧縮袋を使うと側生地(布団表面の生地)が傷ついてしまったり、ダウンボールと言われる綿毛が傷ついて、かさ高が減ってしまう可能性があります。これが原因となって、保温性が落ちるなど布団の寿命が縮まってしまうことも。
羽毛布団を収納する場合は、購入時についていた不織布の布団ケースや、市販の布団用の収納ケースを使って収納します。不織布の布団ケースがないという方は、最近だと100円ショップでも手軽に購入することができるのでおすすめです。
ゴミ袋に入れて保管するという方もいるかもしれませんが、通気性を確保できないのでおすすめできません。どうしてもという場合は、洗濯済みの清潔な掛け布団カバーをつけたまま収納することで代用が可能です。使用後の布団カバーには皮脂や汗がついており、洗濯をしていないとダニがつく原因になってしまうので、必ず洗濯済みのカバーを使用するようにしましょう。
また、収納する場所も大切です。押し入れなどに収納するときは、布団ケースの下にスノコを敷くなど除湿剤を合わせて使うと、湿気が溜まりにくいので布団がダメージを受けにくくなります。とくに梅雨時などは湿気が溜まりやすいので、布団を収納しているクローゼットや押し入れをたまに開け閉めして、空気の流れをつくってあげるのも良いでしょう。

まとめ
衣替えのタイミングは、住宅環境によっても異なるので『温湿度計』を置いて室温が20℃を超えたタイミングを目安にしましょう。使わない掛け布団を収納する際は、圧縮袋など側生地やダウンボールが傷ついてしまう収納方法は避け、湿気が溜まりにくい場所に収納するようにしましょう。