春になると眠くなるのはなぜ?「春の眠気」の正体
「しっかり寝ているのに、日中どうしても眠くなる」——3月から5月にかけて、こうした不調を訴える人が急増します。古くから「春眠暁を覚えず」と言われてきたこの現象は、単なる気のせいではなく、春特有の環境変化が引き起こす睡眠の質の低下が原因です。
主な要因は次の3つに整理できます。
1. 寒暖差による自律神経の乱れ:春は一日の気温差が10℃以上になることもあり、体温調節を担う自律神経が過剰に働きます。交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかず、夜の寝つきが悪くなったり、朝すっきり起きられなかったりするのです。
2. 花粉症と睡眠の質の関係:スギ・ヒノキ花粉による鼻づまりやかゆみは、夜間の中途覚醒を増やし、睡眠の深さを奪います。さらに、抗ヒスタミン薬の副作用による日中の強い眠気も無視できません。
3. 新生活のストレス:入学・入社・異動など環境の変化が集中する4月は、心身の緊張から睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌リズムが乱れがちです。
睡眠の質を上げる5つの習慣
春の眠気を根本から改善するには、「睡眠時間」より「睡眠の質」に目を向けることが重要です。大正製薬が2026年3月に全国20〜60代の男女1,000人を対象に実施したインターネット調査(※1)でも、「スマートフォンを見ながら寝る」が睡眠の質を下げる習慣の第1位(1,000人中328人)となっており、生活習慣の見直しが急務であることが分かっています。
1. 朝日を浴びて体内時計をリセットする
起床後すぐにカーテンを開け、15分ほど太陽光を浴びましょう。光刺激でメラトニンの分泌が抑制され、約14〜16時間後の夜に再び分泌される「眠りのリズム」が整います。

2. 就寝1〜2時間前にぬるめの入浴
38〜40℃のお湯に10〜15分浸かると、深部体温が一度上がってから下がる過程で自然な眠気が訪れます。シャワーだけで済ませるのは避けたいところです。
3. 15〜20分の戦略的な仮眠
午後の眠気には、15時までに15〜20分の仮眠が効果的です。30分以上眠ると深い睡眠に入り、起床後にかえって眠気が残るため注意が必要です。
4. 寝室の花粉対策を徹底する
花粉がつきにくい寝具カバー、空気清浄機、就寝前の鼻うがいの3点セットで、花粉症による中途覚醒を大きく減らせます。

5. 寝る前のスマホを手放す
ブルーライトはメラトニン分泌を抑制します。就寝1時間前は画面から離れ、読書や軽いストレッチに切り替えるだけで、入眠までの時間が短縮されます。
2026年のトレンド:スリープテックで「眠りをデザインする」
矢野経済研究所の予測(※2)によれば、国内スリープテック市場は2026年に175億円規模へと拡大する見通しで、睡眠計測アプリ、温度調節マットレス、AI搭載の枕などが急速に普及しています。自分の睡眠を「見える化」し、データに基づいて環境を調整する——そんな新しい快眠習慣が、これからのスタンダードになっていくでしょう。
まとめ:春の眠気は「整える」ことで克服できる
春の眠気は、寒暖差・花粉・ストレスという複合要因が絡み合った季節特有のサインです。睡眠の質を高める5つの習慣を今日から少しずつ取り入れ、体内時計と自律神経を整えていきましょう。眠気に振り回されない春は、ちょっとした生活習慣の見直しから始まります。
出典・参考
・ ※1 大正製薬株式会社「健康寿命を伸ばす“睡眠の質”の高め方」プレスリリース(2026年3月13日)— 全国20〜60代男女1,000人を対象としたインターネット調査
・ ※2 矢野経済研究所「スリープテック市場に関する調査」— 2023年の国内スリープテック市場規模105億円、2026年175億円との予測
・ OECD(経済協力開発機構)2021年版加盟国睡眠時間調査
・ 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

