「黄金の90分」ってどういうこと?

6月 14, 2023

前回、睡眠負債についてお話いたしました。「長い時間寝なくちゃ」と思われた方も多いかと思います。その反面、「時間がとれないな・・」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

睡眠は、「時間」だけが問われるわけではありません。「質」も、また大事な要素となるのです。

睡眠は、ただ寝るという行いをしているだけだと思っていますか?

実は、睡眠は、脳と身体のなかのメンテナンスの時間でもあるのです。

・脳と身体の休息

・記憶の整理と定着

・成長ホルモンの分泌

・免疫力アップ

・脳のデトックス

睡眠時間の理想は、確かにあります。けれど、その時間数寝ていないからといって、ガックリしなくて大丈夫です

時間が確保できない時は、「質」を意識すればいいのです。

日中の覚醒している間、私たちの脳は外界の刺激で考えることがあったり、また腸は食べたものを消化したり・・働き続けていることは前回でお話しましたよね。

では、みなさんは、疲れた時なにをしますか?「休む」「寝る」という方が大半ではないでしょうか。

その「寝る」ということは、疲れの対策として大正解なのです。

睡眠の質についてお話する前に、レム睡眠とノンレム睡眠について説明します。

睡眠には2つあり、浅い眠りのレム睡眠、深い眠りのノンレム睡眠があります。両者ともに重要な睡眠であり、このレム睡眠とノンレム睡眠とのバランスが「質」の評価になっていくわけです。

レム=REMとは「高速眼球運動(Rapid Eye Movement)」のことで、レム睡眠は眼球がよく動くことから、こう名付けられています。この時に、脳の記憶を司る領域が活発に動いており、このことが記憶の定着につながっていると考えられています。しかし、筋肉は動かない状態にあるので、脳が指令を出しても動くことができません。ですから、“金縛り”の状態になるのは、このレム睡眠の時と言われています。また、夢を見るのもこの時間です。

一方、ノンレム睡眠は深い眠りであり、眼球の速い動きがみられません。ノンレム睡眠には3段階あります。ステージ1はウトウトしている状態、ステージ2は軽い寝息を立てはじめるくらいの状態になります。ステージ3になると熟睡状態になります。ノンレム睡眠中には、脳の活動は一部を除いてほとんどの活動を停止します。

私たちが寝ている間に、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンと聞くと、それって子供に必要でしょー、なんて思われるかもしれません。

そんなことはないのです!!大人になっても、成長ホルモンは大切なホルモンなのです。成長ホルモンは、子供の成長だけでなく、免疫力や新陳代謝にも関わっています。肌や骨を生まれ変わらせてくれるのが、この成長ホルモン。私たちの身体のメンテナンスを請け負っているのです。

「黄金の90分」とは、特に眠りはじめの90分のことで、この90分にいかに深いノンレム睡眠へ導いていけるのか、そこで成長ホルモンをしっかりと分泌させることができるのかが「質」に関わっているのです。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でMVPを獲得した大谷選手。大会が終わった後、「帰って寝ます」「メンテナンスします」とコメントしていました。身体が資本であるからこそ、【睡眠】という方法で身体をととのえているのですね。

さあ、あなたも眠りはじめの90分を、黄金にするために、少し睡眠を意識していきませんか?

次回は、「子どもと家族の眠り」についてお話しますね!

参考図書:⻄野精治「スタンフフォードの眠れる教室」幻冬社

クルスティアン・ベネディクト ミンナ・トゥーンベリエ

「Sleep,Sleep,Sleep」サンマーク出版

メンタリスト DaiGo「賢者の睡眠 超速で脳の疲れを取る」リベラル社

毛内拡監修「今と未来がわかる脳と心」ナツメ社