4限目「心地よい」入眠ってどうする?

7月 13, 2023

今まで、「睡眠負債」や「黄金の90分」についてお話してきました。

睡眠って大切なんだな・・と感じていただけたのではないかと思います。

いよいよ今回は「心地よい」入眠!

なかなか眠れないという悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないかと思います。

日中の刺激が、私たちの身体や精神に大きく影響を与えています。日中イヤなことがあったり、仕事がうまくいかなかったり・・。そんな日は、ベッドに入ってもなかなか寝つけないですよね。日中特になにもなかったのに、なかなか眠れない方もいらっしゃるかと思います。

覚醒時は、スイッチオンの状態にして、仕事や勉強、複雑な機器の操作、危険を感じて回避するといった役割を果たしています。ですから、睡眠時にはスイッチをオフにすればいいわけなのです。

しかし、夜中寝ている時に電話がなったとします。ここで、たいていの方は目が覚めるのではないでしょうか?私たちの身体の仕組みは、危険から身を守ることも組み込まれています。ですから、寝ているような時間でも、なにか異常を感じたらすぐに起きて活動ができるようにスイッチがすぐにオンになるようにできているのです。そのために、スイッチをオンにする神経伝達物質は複数個ありますが、スイッチをオフにしてくれる神経伝達物質は、2個程度しかないのです。

このスイッチオフにするキーワードが、【体温】になります。

人が入眠する時には、身体の表面の皮膚は温かくなります。子供は、眠たくなると手が温かくなりますよね。それこそが、皮膚の温度が上がっているサインです。皮膚の温度が上がることは、血流がよくなり血管が広がったことを意味します。そのことによって、皮膚から放熱が行われます。放熱が行われることで、身体の中の体温が下がるというわけなのです。この身体の中の体温を下げることが、キーワードの【体温】による入眠スイッチになるのです。

では、どうすれば身体の中の体温を下げることができるのでしょうか?

私たちは、湯船につかるという習慣が古来よりあります。この入浴をぜひ活用したいものです。

お風呂に入ったら、熱くなるから逆なんじゃない?
ずばり!その熱くなる、をうまく使うのです。

入浴により、私たちの身体は一時的に体温が上昇します。体温が上昇したら、体温を一定に保つ働きによって、汗をかいたり、血管を広げたりすることで、放熱します。この放熱によって、体温が下がる仕組みができているのです。

じゃあ、寝る前にお風呂に入ったらいいよね!と思ったあなた!

ここでも、注意点があるのです。寝る前直前の入浴は、入眠の妨げになる可能性もあります。

理想的な入浴の活用方法は、寝る1時間30分前から2時間前に、38〜40℃のお湯に15分程度浸かることです。入浴後、1時間30分から2時間かけて体温が下がり、スイッチオフとなり入眠へ促すというわけです。入眠モードで寝るので、寝つきはよくなり「黄金の90分」(詳しくは第2回目をお読みください)が手に入るのです。

仕事が忙しくて2時間前のお風呂は難しい時は、さっとシャワーを浴びるか、ぬるめのお湯に短時間浸かることをお勧めします。あまり、身体を温めてしまうと眠れなくなるためです。

いよいよ寝室のベッドで眠りにつく時には、室温・湿度にも気を配っていただきたいもの。

厚生労働省は睡眠指針12箇条を提唱しており、季節によって変わりますが、室温は概ね13〜29℃、湿度は40〜60%程度が良いとされています。

これから暑くなってきますから、ぜひ室温や湿度も意識してみてくださいね。

次回は、「快適な目覚め」についてお話します。次回もお楽しみに!

 

実際、我が家もそうでした。5歳くらいになって、保育園でお昼寝をするとなかなか夜に寝付けない・・なんてこともよくありました。また、残業して、子供を迎えに行って、夜ご飯の準備をして・・気がつけばもうこんな時間!なんていうことも日常茶飯事。

でも、子供の心身の成長を考えた時、これでいいのかと一髪奮起!!睡眠時間の確保から逆算して、帰宅後の生活を考えるようになりました。そりゃ、大変ですよ。でも、頑張りました。

その成果もあってか、3人の子供達はみな中学受験で合格をいただきました。今では、長男は医学部に進学し、次男は、仕送りなし、バイトなしのアイドル活動をしています。3人目は、今高校3年生ですので、これからどう進んでいくのか、しっかり見守っていきたいと思います。

脳の発達を妨げない睡眠を大事にしたことで、自分で考えて実行することができる子に育ってくれたのかと思っています。
子どもはどのくらい眠ればいいのでしょうか?
2016年に米国睡眠では、
・生後4ヶ月から12ヶ月の乳児は、12時間から16時間
・1歳から2歳は11時間から14時間(昼寝を含む)
・3歳から5歳は10時間から13時間(昼寝を含む)
・6歳から12歳は9時間から12時間
・13歳から18歳は8時間から10時間
を推奨しています。
あなたのお子さんは、睡眠時間足りていますか?
次回は、「心地よい」入眠についてお話しますね。

 

 

出典:Jodi A Mindell, Avi Sadeh, Benjamin Wiegand, Ti Hwei How, Daniel Y T Goh. Cross-cultural Differences in Infant and Toddler Sleep Sleep Medicine11(2010)274-280

出典:Paruthi et al. Recommended Amount of Sleep for Pediatric Populations: A Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine. J Clin Sleep Med. 2016;12:785-6.

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000046684.html

参考図書:⻄野精治「スタンフフォードの眠れる教室」幻冬社

クルスティアン・ベネディクト ミンナ・トゥーンベリエ

「Sleep,Sleep,Sleep」サンマーク出版

メンタリスト DaiGo「賢者の睡眠 超速で脳の疲れを取る」リベラル社

毛内拡監修「今と未来がわかる脳と心」ナツメ社